only-you は、yamadashy/skills に含まれるAgent Skillのひとつです。目的はかなり絞られています。リポジトリを見て「最上位級のモデルにしか任せる意味がない仕事」を探し、人間がそのまま選べる番号付きの提案にする。単なるレビューでも、気づきの一覧でもありません。READMEではこのリポジトリを個人用Agent Skills集として扱い、npx skills add yamadashy/skills でまとめて導入する形が示されています。(yamadashy/skills, only-you)
Agent Skills全体の文脈で見ると、これは小さなSkillです。Anthropicの説明では、SkillはSKILL.mdを含むディレクトリで、nameとdescriptionのfrontmatterを起点に、必要なときだけ本文や追加ファイルを読み込む仕組みです。only-you もその形式に沿っていて、ファイルはskills/only-you/SKILL.mdだけ。スクリプトやテンプレートを抱えるタイプではなく、モデルの判断基準を短く固定するためのSkillになっています。(Anthropic Engineering, Claude Platform Docs)
「すごい気づき」ではなく、任せられる仕事にする
only-you の中心にあるのは、提案を出す前のフィルタです。「1段下のモデル、または時間のある有能なエンジニアが、ほぼ同じ結果を出せるか」。答えがはいなら、その候補は捨てる。残すのは、リポジトリ全体にまたがる矛盾の解消、前提を正したうえでの再設計、まだ実装されていないが必要な設計対象の発見、将来の副作用を先回りする構造変更のような仕事です。(only-you)
ここでおもしろいのは、観察そのものを成果物にしないところです。Skill本文には、観察は材料であって、仕事につながらないものは trivia だと書かれています。AIにコードベースを読ませると「なるほど」で終わる指摘が増えがちですが、このSkillは最後を「何をするか」「なぜ今ここで必要か」「完了条件は何か」まで押し込みます。
低コストな探索を使い、最後の判断だけを厳しくする
手順はScout、Judge、Groundの3段階です。Scoutでは、リポジトリが小さければ全部読み、大きければ1段下のモデルに構造、慣習、履歴を調べさせます。git log も、作者が何に悩み、何を大事にしてきたかを見る材料として扱います。(only-you)
Judgeだけは委譲しません。候補を作ったあと、さらに複数の「1段下のモデル相当」のスカウトに、彼ら自身なら提案し実行できる仕事を挙げさせます。その和集合に入るもの、または明らかに彼らでも実行できるものは落とす。自分で読んでいる最中は何でも特別に見える、という失敗を前提にして、わざと強いベースラインを置いているわけです。
Groundでは、残った案にファイル、行、コミット、あるいは「この配下にXが存在しない」という具体的な不在を結びつけます。根拠を持てないタスクは ambition として切る。このあたりは、最上位モデル向けのSkillでありながら、むしろ出力を抑制するための設計に見えます。
人間が一語で許可できる粒度
出力は3〜5件の番号付き提案です。それぞれに、実施内容、必要性の証拠、安価な手段では足りない理由、完了条件を含めます。3件未満しか残らないなら水増ししない、と明記されているのもいい線引きです。最上位モデルを使う理由が薄い仕事まで並べると、結局は普通のタスク管理表になってしまうからです。(only-you)
Agent Skillは、手順を足せば足すほど強くなるとは限りません。only-you のNotesには、frontier models degrade when over-scripted とあり、維持するときも手順を増やしすぎないよう書かれています。モデルに何を読ませるかだけでなく、何を成果物として認めないかを決める。only-you は、その線引きを1枚のSKILL.mdに閉じ込めた例として読めます。