IP as Logoは、ブランドの顔になるマスコット画像をAIエージェントに作らせるためのAgent Skillです。中身は画像生成プログラムではなく、ルート直下のSKILL.mdを中心にした指示書。認識しやすいシルエット、使う色、画面内の位置、候補を出す順番まで細かく決め、画像生成モデルへ渡す前後の仕事を整えています。(GitHub, SKILL.md)

「かわいい」を形の予算へ置き換える

このSkillが最初に置く基準は、完成画像が32 × 32でも見分けられることです。外形はおよそ4〜7個の大きな基本形で組み、動物らしさを示す特徴は原則ひとつ。目や口以外の細かな線、毛並み、装飾、鋭い突起は、識別に必要でなければ削ります。

「シンプルでかわいく」という依頼だけでは、画像モデルが細部を盛りやすい。そこで、大きな頭、丸く重い輪郭、広い色面といった判断基準を先に固定しています。黒一色のシルエットでも読めるか、縮小時にノイズになる形がないか、という確認軸も明快です。デザインの好みを曖昧な形容詞で終わらせず、形の予算へ翻訳しているわけです。(SKILL.md)

3方向を比べ、6枚を独立に生成する

製品リポジトリ内で使う場合、エージェントはREADME、製品文書、アプリのメタデータ、デザイントークンなどを読み、用途・対象者・雰囲気を推測します。情報が足りなければ質問は一度にまとめ、その後に「題材、製品とのつながり、特徴的なシルエット」を一行ずつ書いた3方向を提案します。

標準の出力は6枚です。3方向すべてを試すなら各案を2枚ずつ作り、左下から現れる構図と右下から現れる構図を一度ずつ割り当てます。画像全体では、キャラクターの2色と背景1色の計3色を基本とし、主役は正方形の約85〜95%を占めます。複数案を一枚に詰めたコンタクトシートではなく、候補ごとに独立した正方形画像として返す点も決められています。(README, SKILL.md)

興味深いのは、画像モデル向けのプロンプトではlogo、brand mark、app iconといった用途名を伏せ、正方形のキャラクター画像として記述することです。周辺の会話では用途を共有しつつ、生成時には見た目の条件だけを渡す。プロンプトに含める文脈そのものを、制御対象として扱っています。

自動選別をしない、という設計

IP as Logoは、生成結果を自動検査して不合格にしたり、背景や色を理由に再生成したりしません。各候補は一度だけ生成され、返ってきた画像をそのまま保存します。画像モデルの出力には揺らぎがあると認めたうえで、最初の6枚を比較し、必要なら人が次の抽選や修正を頼む流れです。

この割り切りにより、Skillが担う範囲も見えやすくなっています。得意なのは、ブランド情報から案を分岐させ、同じ制約の下で比較できる画像を揃えるところ。最終的な採用判断や、小さい表示での読みやすさの確認まで自動化するものではありません。画像生成機能がない環境では、生成したふりをせず、利用できる生成器の準備を求める仕様です。(README, SKILL.md)

導入はnpx skills@latest add s1dashu/ip-as-logo-skill。Agent SkillsはSKILL.mdを必須とする公開形式なので、特定のエージェント専用プラグインではなく、対応環境へ指示と素材をまとめて持ち込めます。このリポジトリも、実装スクリプトや生成用依存パッケージを持たない小さな構成です。まず3方向の提案内容を読み、自分の製品情報からどこまで筋の通ったモチーフを引き出せるかを見ると、このSkillの強みと限界をつかみやすいでしょう。(Agent Skills Specification)

参考