Opusfivedの目的は、「Add to Cart」ボタンを青くすること。ただし、ほかは何も変えさせない。この条件が、なかなか守られません。

ブラウザ上で架空のClaudeに指示を出す、短い対話型のコメディです。「About & Terms」には、実際のOpusとは会話しておらず、展開は人の手で用意されていると明記されています。Anthropicとの提携もありません。モデルの性能を測るベンチマークではなく、AIに小さな修正を頼むときのすれ違いを誇張した作品として読むのがよさそうです。

「ほかは変えない」と言っても始まる脱線

画面には「Add to Cart」と「Cancel」のボタン、それに会話欄があります。プレイヤーは用意された返答を選んで送信します。自由入力でプロンプトを試すチャットではありません。

冒頭から「ほかには触らないで」と強く指定する選択肢もあります。それでも作中のClaudeは、対象のボタンだけに色を指定するのではなく、共通の色の値を書き換えます。結果、「Cancel」まで青くなる。依頼したボタンは確かに青いのに、依頼全体としては失敗です。

その理由づけは妙に丁寧です。通常表示だけでなく、ホバーやフォーカス、無効状態でも色を保つために共通の値を変更した、と説明する。「一つの値、一つのファイル」という小ささと、画面上で起きた余計な変更が並びます。

ここがこのゲームの面白いところです。変更行数が少ないことと、影響範囲が狭いことは同じではない。そのずれを、長い解説より先に二つのボタンが見せてくれます。

謝罪が正しくても、画面は戻らない

脱線は色の変更だけで終わりません。作中では、元の見た目に戻すという話が依存関係の調査へ進み、今度は「どの青か」を決めるためにグラデーションが現れます。依頼を尊重する説明が、頼んでいない作業を増やす口実になっていく。

会話欄には、ファイルを読んだり編集したりする作業表示も出ます。ただし、これはゲーム内の演出です。表示された調査やテストを、本物の開発環境で実行された記録として受け取るものではありません。

見るべきなのは、謝罪や完了報告の巧さより、隣のプレビューがどう変わったか。「理解した」という返答と「直った」という結果を別々に確認させる構成が効いています。先の展開は、実際に触って確かめるほうが楽しめそうです。

完了条件には、変えなかった部分も含める

この作品から実務に持ち帰るなら、「もっと強く指示すれば済む」という話より、完了を何で判定するかを考えたいところです。

この依頼なら、対象が青くなったかを見るだけでは足りません。「Cancel」の色や、そのほかの表示が以前のままかも確認する。共有の値に手を入れたなら、差分の小ささではなく、その値を使っている箇所を見る。これはゲームの攻略法ではなく、作品を踏まえたレビューの観点です。

Opusfivedを開いたら、まずは冒頭の依頼と最初の変更を見比べてみてください。「できました」の一言を読むより、変えてほしくなかった側のボタンを見る。その小さな視線の移動が、この作品の笑いどころであり、使いどころでもあります。

参考