知らない分野を調べるとき、最初に困るのは答えだけではない。何という言葉で探せばよいか、誰の資料から読めばよいかも分からない。imozuruは、その入口から原文の収集までを扱うClaude Code向けのスキルだ。完成した要約を渡すより、読むべき資料と、その中の根拠の場所を残すことに重きを置いている。
以下はREADMEとスキル定義、抜き書き用スクリプトを読んだ整理で、調査精度を実測したレビューではない。
検索語を固定せず、用語・人・場を探す
imozuruは、Batesのberrypicking、Ellisの探索行動、Kuhlthauの探索過程を設計の拠りどころに挙げている。手順ではまず、英語と日本語など異なる探し方で、用語・人・場・定番の資料を集める。それをmap.mdに記録してから、参考文献、被引用、著者、記事中のリンクへと進む。
対象は論文に限らない。個人ブログや動画にも同じように手がかりをたどり、取得したPDF・記事・字幕をsources/へ保存する。資料には「論文」「本人」「観察」「まとめ」「公式」といった種類を付け、どれを信じるかは読む側に残す。
検索結果の上位を読むだけでなく、そこで覚えた言葉や見つけた人から探し直す。この手順なら、最初の検索語が粗くても、探索中に問いを修正する余地がある。
「十分調べた」を根拠の有無で決める
調査の前に、答えるために必要な主張を3〜6個書き出す。少なくとも1つは依頼の条件をそのまま含め、半分以上は原文を読まないと答えられない形にする。「関連する資料がある」だけで調査を終えないための縛りだ。
主な停止条件は、主張すべてに原文の場所が付くこと、または探索が飽和すること。飽和の目安は、同じ問いを異なる探し方で調べ、挙がった人や資料の7割以上が既知で、新しい用語もほぼ出ない状態だ。この7割は根拠がまだ弱いとREADMEにもある。ほかに4周の上限や取得できない壁でも止めるため、終了したこと自体は網羅性を意味しない。
集まった本数よりも、最初の問いに対応する根拠が残ったかを見る。調査を頼む側も、この主張の立て方は確認しておきたい。
抜き書きは照合するが、正しさまでは判定しない
収集後はextracts.jsonに抜き書きを置き、report.pyで閲覧用のreport.htmlを作る。スクリプトは引用文が原文の指定箇所に存在するかを照合し、合わないものがあればHTML生成を止める。
実装を見ると、空白をそろえ、指定行の前後2行も含めて照合する。省略記号「…」で分けた断片は、原文に同じ順序で現れるかを確かめる仕組みだ。単純な行単位の完全一致ではない。ただし、原文側は行を結合してから正規化するため、複数の箇条書きにまたがる引用では途中の記号が残り、内容が同じでも照合に失敗する場合がある。
ここで確認できるのは、抜き書きと保存済みの原文との対応だ。資料の主張が正しいか、引用の選び方が妥当かまでは判定しない。生成ページには前後の文脈を開く表示もあり、人が読み直すための足場になっている。
導入コマンドはnpx skills add MaryCache/imozuru。スクリプトにはPython 3.10以上が必要で、PDFの文字抽出や動画字幕の取得には別途コマンドが要る。検索語は外部へ送られるため、READMEは機密や個人データを含む調査には使わないよう注意している。
短い答えだけが欲しいなら、原文を集める手順は重い。反対に、後から根拠を読み直したい調査なら、map.mdの問いと抜き書きの対応から試すとよさそうだ。見るべきなのは要約の滑らかさではなく、自分が原文に戻って判断できるかどうかだ。